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Appfest 2022ではironSourceのMaytal Shaul氏、Anna Popereko氏、Yuval Lotan氏が登壇し、カスタムプロダクトページ、広告枠戦略、A/Bテストのヒントなど、高度に自動化が進んだアプリ経済の成長にインパクトを与える3つの方法について解説しました。以下のサマリをお読みください。また、実際の様子を動画でもご覧いただけます。

モバイルアプリ業界では自動化がますます進んでおり、ユーザー獲得と収益化のパフォーマンスはいずれも向上しています。しかし、ironSourceのビジネスグロース担当VPのMaytal氏が説明するように、自動化は手動制御を脅かすものではありません。実際のところ最高のパフォーマンスを引き出すためには、人と機械が一体となり取り組む必要があるのです。

ここでは、アプリゲーム会社がこのような制御手段を活用し、最も効果を発揮できる3つの分野をご紹介します。

広告戦略と枠の最適化に、より多くの時間を費やす

ironSourceのプラットフォームグロース責任者であるYuval Lotan氏は、セッションの冒頭でいくつかの重要な知見について語りました。広告枠戦略の最適化には、ウォーターフォールの最適化よりもはるかに大きな成長ポテンシャルがあり、それは最大400%にも達するとのことです。しかしLevelPlayの顧客調査では、大多数のスタジオが成長の見込みのない分野に大半の時間を投じており、時間配分に隔たりがあることが明らかになっています。

では、なぜスタジオは広告枠戦略にあまり投資しない傾向にあるのでしょうか? 3つの主な理由があります。リスク、チーム体制、データへのアクセス性です。


リテンションリスク

当然ながら、広告枠戦略の変更はウォーターフォールの変更よりも高リスクです。ウォーターフォールを最適化するのに比べて、リテンション、プレイタイム、アプリ内課金に影響を与える可能性があるからです。しかし、同じ理由で、より有益なこともあり得るのです。ironSourceの調査によると、動画リワードに参加したユーザーのリテンション率は非常に高く、アプリ内課金の可能性も非常に高いとのことです。このようなパフォーマンスの向上を考えれば、リスクを取る価値はあると言えるでしょう。

チーム体制

広告戦略を最適化するためには、ユーザーが何を必要としているか、広告ユニットによってどのようなユーザー反応があるかを理解しているエキスパート、またはそのようなチームが必要です。しかし、あなたのスタジオのチーム体制がそのように作られていなければ、実現は困難です。

例えば、収益化マネージャー、プロダクトマネージャー、ゲームデザイナーがそれぞれ異なる目標を掲げる別のチームに所属している場合、広告枠戦略を協働して考えるのは難しいことです。一方はアプリ内課金収入を優先し、もう一方は広告収益を優先するかもしれないからです。

その場合に取りうる選択肢は3つです:

  • 必要であれば、会社の体制を変更する
  • ironSourceで行ったように、この役割のために専任者を雇う(彼女から後ほどヒントをご紹介します)
  • ironSourceのゲームデザインコンサルタント会社などの代理店に外注する

データの透明性

また、多くのスタジオは「何をもって成功なのか」の可視化が難しいため、広告枠戦略に投資することをためらいがちです。ここでは、Yuval氏のヒントを紹介します:

まず、どのようなKPIに注目すべきかを把握する必要があります。まずはエンゲージメント率、つまり広告を見たユーザーの割合から始めましょう。この割合は収益と比例するため、成長性を評価するのに最適な方法です。さらに、エンゲージドユーザー1人当たりのインプレッション数、DAU当たりのインプレッション数にも注目してください。

次に、メディエーションパートナーからカテゴリーのベンチマークを確認します。ターゲットが明確であれば、目標を定めることがより容易になります。例えば、あるRPGゲームではKPIをベンチマークと比較したところ、動画リワードのエンゲージメント率は低かったものの、インプレッション/エンゲージドユーザーは高いことがわかりました。このことから、広告がユーザーに良好な価値を提供しているにもかかわらず、トラフィックドライバーへのアクセスが不十分だったため、そうした事実を見つけることができなかった、ということが判明したのです。実際、Yuval氏のチームがこのゲームのレコメンデーションを構築した際には、このジャンルのエンゲージメント率の中央値に到達できると見積もったため、40%以上の成長性があると算出しました。最終的にエンゲージメント率が60%も向上し、さらにリテンションが安定しました。

Yuval氏の「広告枠の最適化にもっと時間をかけよう」という呼びかけに応えて、ironSourceの社内ゲームデザインコンサルタントであるAnna Poperko氏が、そのための4つのヒントを紹介しました。

データは王様

ユーザーがトラフィックドライバーにどのように関わっているかを徹底的に理解するために、Anna氏はKPI(エンゲージメントレート、インプレッション/DEUなど)を単独で見るのではなく、比較することを勧めています。そうすることで、プレイヤーの行動の背景をより深く理解することができます。例えば、ある広告枠がエンゲージメント率は非常に低いものの、エンゲージドユーザー当たりのインプレッション数が非常に高いとしましょう。この場合、プレイヤーはこの広告枠にあまり気づくことがないかもしれませんが、気づいたプレイヤーはとても貴重なものだと理解できます。

プレイヤーのモチベーションを理解する

プレイヤーを収益化するには、まずプレイヤーとそのニーズを理解することが不可欠です。ゲーマーは通常、習熟度、達成度、創造性などの標準的なモチベーショングループに分けられます。例えば、プレイヤーのモチベーションが達成度であることが分かっている場合、失敗したときに役立つ特典映像を提供するなど、プレイヤーのニーズに合った個別戦略を講じることができます。

競合を知る

広告枠戦略を最大化するためには、常に類似のゲームから学び、競合の成功要因を正確に知ることが重要です。競合相手のゲームをプレイしてみるとよいでしょう。ライバルのユーザーフローを比較し、理解するチャンスです。広告枠は多いのか少ないのか? 広告枠の設置箇所はどこなのか? ライバルのアプリは、自分のアプリと同じユーザーモチベーションに対応しているか? 広告枠戦略で埋められるギャップは何かを確認してください。それによって得られるあらゆるインサイトがチャンスであり、常に改善の余地があります。

他のジャンルからインスピレーションを得る

Anna氏は、競合相手だけでなく、同じようなプレイヤーのモチベーションを活かして成功している、他のジャンルからインスピレーションを得ることも勧めています。例えばAnna氏は一人称始点シューティングゲームに関わっていたのですが、このゲームはストア内のアイテムをまったく更新しなかったので、プレイヤーのエンゲージメントを失っていました。そんな中、毎月アイテムを更新するストアを備えたレーシングゲームにヒントを得て、ストアアイテムを頻繁に更新するようにしたところ、収益が急速に増加したのです。ジャンルは大きく違っても、プレイヤーのモチベーションを「達成」させるという点では両者は共通したわけです。

カスタムプロダクトページの活用

広告枠の最適化に加え、Maytal氏はもう一つの成長分野に触れました:それはAppleのカスタムプロダクトページです。IPMコンバージョンレートを高める(正確には、IPMが15%~43%増、CVRが8%~37%増、eCPMが7%~40%増)大きな可能性を秘めたiOS 15のプロダクトについてのものです。同ページはApp Storeのランディングページのカスタムバージョンを、特定のクリエイティブと連携させることで機能します。

ironSourceのネットワークを見ると、支出の40%以上がAppleのカスタムプロダクトページで運用されています。また、カスタムプロダクトページを利用している広告主の90%は、ironSource ROASオプティマイザーを使ってそのUAを運用しています。そのことから、入札戦略を自動化することで、クリエイティブやプロダクトページのエクスペリエンスに注力する時間をより多く確保できることが分かります。

Maytal氏が説明したように、カスタムプロダクトページがIPMとコンバージョンレートを向上させるのには理由があり、やり方があるのです。基本的には、オーディエンスまたはクリエイターに向けて、ユーザージャーニーに最適なレイヤーを追加します。カスタムプロダクトページをオーディエンスに合わせて最適化することで、言語やローカライゼーション、独自のホリデーなどに焦点を置く機会が増えます。一方、クリエイティブ要素に合わせて最適化し、人気のあるクリエイティブに合わせてスクリーンショット、プレビュー、類似の色、キャラクター、その他の要素を追加することで、プロダクトページとクリエイティブとのより良い橋渡しができます。

実際、Pocket Gemsはあるクリエイティブが他を圧倒しているのを見て、そのクリエイティブのテーマを盛り込んだカスタムプロダクトページを作成し、ironSourceネットワークで展開しました。A/Bテストに成功した後、同社は新しいページをメインキャンペーンに導入し、その結果IPMが16%も向上したのです。ironSourceでそれをどのように実現したかはこちらから御覧ください。

A/Bテストの活用

A/Bテストもまた、ユーザー獲得と収益化の両方を最適化するための重要な戦略です。

実際、スタジオがアプリ内入札を採用して収益化を自動化することと、A/Bテストを実行することには直接的な相関関係があります。

収益化をA/Bテストすることで、KPIを損なうことなく、ゲーム内のあらゆる変更の影響を測定することができます。また、ユーザーの行動を明確に把握しつつ、ARPUやリテンションのアップリフトを予測することができます。

たとえ小さな変化であっても、収益やスケーリングを拡大できると思われるのであれば、常にそれを確認するだけの価値があります。実際、A/Bテストを行ったLevelPlayの顧客のうち、62%のケースでBグループが勝ち、新しい変更を適用した顧客はLTVが7%伸びたとのことです。これらの変更には、入札ネットワークの追加/更新、さまざまな広告枠のテスト(キャッピング、ペーシング、リワード)、バナーのリフレッシュ頻度などがあります。これらはすべてLTVに最大の影響を及ぼす要素です。

A/Bテストを首尾よく実行するために、Maytal氏は以下のことを推奨しています:

  • 既存の戦略に挑戦する。ゲーム内のユーザー行動は常に変化している
  • 幅広いユーザー層でテストを行い、すべてのオーディエンスに対するA/Bテストの影響を確認する
  • 全体的な結果と細かな結果の両方を見て、その変化がすべてのグループにポジティブな影響を及ぼすことをよりよく理解する
  • あらゆるものをテストする。あらゆるものに最適化の可能性がある

以上と併せて、Maytal氏は次のように提案しています:

  • KPIを損なうリスクを避けるために、長すぎるテストは行わない
  • 何が結果に影響を及ぼしているかを常に見極めるために、異なるバージョンのテストを同時に実行しない

自動化ツールにはパフォーマンスを向上させる大きな可能性がありますが、結局のところ、手動で最適化する余地は常にあるのです。それを行うには最適な場所を見つける必要があります。

Let's put these tips to good use

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