Appfest 2022において、Tilting PointのNoelia Lopez氏(ブロックチェーンPM兼シニア収益化マネージャー)が、ミッドコアとハードコアのモバイルゲームの広告収益化戦略を共有しました。概要をお読みいただくか、または動画をご覧ください。
Noelia氏は、まず無料ゲームが直面している主な課題、つまり実際にアプリ内購入にお金を払うゲーマーは3%未満でしかない、ことからプレゼンテーションを開始しました。しかし、ユーザーの97%が非課金であるからといって、収益化できないというわけではない、とNoelia氏は説明します。
収益化の柱
Noelia氏が説明するように、多くのハードコアおよびミッドコアのゲーム開発者は、広告の収益化がリテンションや収益に悪影響を及ぼす可能性があることを懸念しています。Noelia氏が聞いた彼らの言葉です:
- “広告を見ると、課金ユーザーは解約や離脱をする"
- “アプリ内広告はアプリ内購入収益と共食いになるかも”
- “広告は低品質のプレイヤーを引き付けるか、ゲームの質を低下させる”
しかし、Noelia氏はこうした懸念のどれも真実ではないと言います。実際には、このような懸念を持つ開発者たちが正しい方法で広告枠を実装していないことを意味します。(または、Noelia氏の言葉を借りれば「仕事をきちんとしていない!」ということになります)
広告実装のロードマップ
では、収益の成長とエンゲージメントを促進する方法で、どうすれば広告を収益化できるでしょうか? ロードマップに従い、プロトタイピング、ソフトローンチ、グローバルローンチ、そして最終的にはライブ運用までの開発ライフサイクル全体を通じて、広告枠を実装します。
プロトタイピング
多くの開発者はゲームのプロトタイピング段階は広告の収益化について考えるには時期尚早であり、むしろ他のゲーム内機能に焦点を当てたいと考えます。しかしNoelia氏は実はこの時点で着手することが重要であると言います。
それは、プロトタイピング段階ではスタジオ全体が競合の分析に必要な市場調査を実施していますが、競合の収益化戦略と、自分たちがどのような戦略を採用するかを理解するのにも重要な時期なのです。
ここから、この広告枠をゲームに取り入れた場合、どれだけの収益をもたらすことができるかを概念化します。各広告枠の収益可能性を理解することは、どの広告枠を優先し最初に重点を置くかを考えるのに役立ちます。この早い時期に着手することで、プロダクトチームに広告枠を優先させ、また戦略に合致させるよう促すことができます。
Noelia氏は、概念化の重要性と、仮にその時点でそれができなかったとしても、自分自身とチームが広告枠について心の準備をすることが重要だと強調します。チュートリアルのように、広告枠をどこに置くべきか、どのように見せるべきか、他に何が必要かなど、自問することで準備を始めることができます。
ソフトローンチ
プロトタイピングの次はソフトローンチ、つまりテスト段階に入ります。Noelia氏はこの段階を、実装、目標設定、テストの3つの部分に分けました。
まずは広告枠です。これは、広告ネットワーク(最もパフォーマンスが高いと思われるネットワークを選ぶ)とメディエーションプラットフォームの実装から始まります。ハードコアゲームに最適な広告は、動画リワードとオファーウォールです。
次のステージでは常に目標を検討します。フィルレート、LTVの向上、収益を最大化するアプリ内広告とアプリ内課金のバランスの把握などです。Noelia氏が説明するように、ソフトローンチはどちらかというとインプレッションの低い国で行われることが多いため、CPMを求めたり、複雑なウォーターフォールを作ったりする必要はありません。だからこそ、フィルレートに集中して1日あたりのエンゲージメントとインプレッションを理解し、良好なフィルレートを得ることが重要なのです。
テストに関しては、Noelia氏は広告に対して複数のテストを実施することを提案しています。最も難しい広告やアプリ内課金と競合したり、リテンションに影響を与えたりする可能性のある広告をテストすることが重要です。ゲームの経済性を判断するときは、与えたい理想的なリワードをテストし、結果に応じて増やしたり減らしたりするタイミングでもあります。ローンチ後でも、最高のパフォーマンスを確保するために、継続的にテストと最適化を行う必要があります。
グローバルローンチ
次はグローバルローンチです。ついに、アプリ内広告のパフォーマンスをモニタリングするときが来ました。Noelia氏は、DAUごとのエンゲージメントや広告など、すべての広告枠の指標を1ページに表示して、どれが最適かを確認することを推奨しています。Noelia氏によると、ハードコアゲームの広告エンゲージメント率は60%程度で、DAUあたりの広告は0~3の範囲にあり、広告収益は最大15%になる可能性があります。目標は、インプレッションを提供する最高の機会を確保するために、95%のフィルレートを確保することです。
このポイントを強調して納得させるために、Noelia氏はWarhammerのような自社ゲームからの広告枠戦略の成功例を共有しました。「混沌」と「征服」 たとえばユーザーがログオンするたびにハード通貨という形のウェルカムパッケージを提供し、プレイヤーがゲームを開始してプレイを続けるように促します。非課金ハードコアユーザーにゲームの広告を試してもらうために、彼女はオファーウォール広告を使用することも推奨しています。これも、Warhammerのエンゲージメントレートを高めるのに役立ちました。
ライブ運用
最後はライブ運用、またはこのローンチ後の期間です。ここではパフォーマンスを最適化するために、広告枠を調整する必要があります。調整を行う前に、そのような変更が広告を使用するユーザーの能力に影響を与えないことに注意することが重要です。
ライブ運用期間は、収益を増やす機会にもなり得ます。例えば、非課金プレイヤーにインセンティブを与えるためにリーダーボードを設定する場合、そこに入るための「チケット」として広告枠を使用することができます。非課金ユーザーとの競争が激化しており、課金ユーザーも、トップに立ち続けるためにより多くの投資をしたいという意欲があります。
まとめると、広告はミッドコアまたはハードコアのゲームを収益化するための主要な資産ですが、広告枠戦略の成功は、適切な量のモニタリングと最適化にかかっています。これはゲーム開発の初期段階から始まっています。