ironSourceは、メディエーションパートナーのNimbleBitの共同創設者、Ian Marsh氏と彼のチームがインディーゲームとして成功を収めてきた方法について対談しました。
NimbleBitがゲーム開発を始めたのはiPhoneが生まれたばかりの2008年の事でした。それ以来、同社のリリースしてきたゲームは累計数百万回ダウンロードされており、その多くが10年以上たった今でもプレーされています。長期間ヒットするゲームを開発する方法について、Ian Marsh氏に話を聞きました。
ゲーム開発はどのようにを始めましたか?また、その理由はなんでしたか?
私と双子の兄弟のDavidは子供のころからゲームが大好きで、私は高校時代にHTMLやFlashといった基本的なプログラムの勉強を始めました。一方で、Davidは二人がお気に入りだったゲームのCounter Strikeでレベルやモッドを作り始めました。
2008年に、Davidとある共通の友人がNimbleBitを始めて、最初のゲームをSteamで公開しました。これはカートレースのゲームで、リアルタイムで物理演算をするマルチプレイヤー方式のゲームという野心的なものでした。
2008年ですか!かなり前からゲーム業界に携わっていたという事ですね。当時のゲーム開発はどのような感じでしたか?
当時、私はHanoiというゲームをリリースしました。このゲームは様々なサイズの円盤を移動させるというシンプルなパズルゲームでした。これは古典的なコンピューターサイエンスの思考実験でした。私はこのゲームをApp Storeで無料公開しました。というのも、家族や友人たちがiPhoneを手に入れたら自分が作ったゲームを披露できると思ったからです。
Honaiは最終的に数百万回もダウンロードされ、App Storeの無料ゲームのチャートで1位になりました。
これは私が作ったゲームの中でも最もヒットした作品でした。更に、これは私が初めて公開したソフトウェアだったので、私は少々圧倒されてしまいました。その後、私たちはこのゲームの拡張版を$0.99でリリースしたのですが、このゲームは私の本業よりも利益を生み出してくれました。私はそのタイミングで本業を辞め、自分の名前でアプリを公開し始めたのです。
それだけ早い時期からゲーム業界に携わってきたわけですが、長年どのようにして激化する市場の競争に対応してきたのですか?
私たちは競争に打ち勝つために何かクリエイティブな事をしようと決断し、「フリーウィークエンド」というものを始めました。これは週末の間なら$0.99または$2.00の有料ゲームを無料で提供するというものでした。ゲームはかなりダウンロードされましたが、週末が過ぎれば有料に戻しました。無料でダウンロードしたユーザーの口コミのおかげで、有料版でも平日の間にかなりの売上を上げる事ができました。この売上金額は週末に無料で提供した事によるコストを上回るものでした。
AppleがiOSでフリー・トゥー・プレイ機能を提供し始めた時点で、私たちは無料のゲームに大きな可能性があると感じていました。Appleが公式にフリー・トゥー・プレイを提供してから、私たちは自分たちにとって初となるフリー・トゥー・プレイ方式のゲームであるPocket Frogを開発しました。このゲームはiOSで初めてとなるエディターのおすすめに選ばれました。
これまでのあなたのゲーミングキャリアの中で最もエキサイティングだった事は何ですか?
Tiny Towerをリリースした事で状況が一変しました。このゲームもエディターのおすすめになり大ヒットしました。このゲームはリリースされると社会現象のようなものになり、New York TimesやWall Street Journalでも取り上げられました。その後、Appleから連絡を受け、その年のiPhoneゲーム・オブ・ザ・イヤーに選出された事が分かりました。
その後、私たちは多くの新しいゲームをリリースし、その多くがエディターのおすすめになりましたが、Tiny Towerほどはヒットしませんでした。今思えば、Tiny Towerに全力を注いでおけばよかったとも思います。現在私たちはこのゲームの10周年記念のために、エキサイティングで大規模な新機能を追加する事に集中しています。
私たちのゲームのいくつかは既に10周年を迎えています。Pocket Frogなどのゲームですね。ゲーム業界の人たちと話すと、10周年を迎えたゲームでも、まだ多くのアクティブユーザーがいて利益を生み出し続けている事が信じられないと言います。こういったプレーヤーたちのコミュニティを作り上げてこられたのは非常に幸運でした。私はプレーヤーたちが運営している私たちのゲームに関するDiscordをみつけ、それに参加してきました。
ゲーム開発で好きな部分は何ですか?
私がゲーム開発で気に入っている事は、作ったゲームで人々を楽しませるという事と、多くの人々に遊んでもらえるという可能性です。特に、今ではモバイルゲームとフリー・トゥー・プレイ方式では、こうしたことが実現しやすくなっています。同じ時間をゲーム開発に費やすなら、数千人よりも数百万人規模のユーザーへ向けて開発したほうが良いでしょう。
また、ゲーム開発は謙虚な気持ちにもさせてくれます。多くのメールをいただき、そこには「私は中学生の頃からこのゲームをプレーしてきましたが、今ではもう子供の親になっています。このゲームのおかげで何度も苦しい時期を乗り越えられました」とか「私の母は化学療法を受けながらPocket Frogをプレーしていました。このゲームは母を集中させリラックスさせてくれました」と書かれていました。こういった素晴らしいストーリーがいくつもあるのです。こういったストーリーが実際には稀なものであるのは分かっていますが、私を本当にやる気にさせてくれます。
ゲーム開発で最も難しいと思う事は何ですか?
最も難しい事は、単純にゲーム業界の変化についていく事です。私が10年前にゲーム開発を始めてから、ゲーム業界は大きな変化を遂げてきましたし、広告がどんどん重要性を増しています。ゲーム市場で生き残ろうとするなら、それなりに多くのリソースを持っていないなら、協力するパートナーを本当に賢く選び、持っているリソースを最大限活用する事に本気でトライする必要があります。
また、利益を維持しながらゲームを成長させることも簡単ではありません。最も難しい課題として、ユーザーの期待に応えつつ、広告出稿をスケールできる収益を上げられるレベルまでゲームをもっていくことです。
10年経ってもプレーしてくれているユーザーがいると言っていましたが、そういった長く愛されるゲームを作る上で、他のインディーゲームデベロッパーに何かアドバイスはありますか?
今ゲーム業界に参入するデベロッパーは、10年前の私たちよりも間違いなく多くの課題に直面する事になるでしょう。最も重要なことは、ゲームのコミュニティを成長させるという事です。作ったゲームを人々がプレーしてくれても、彼らの声に耳を傾けなければ、改善すべき事や変えるべき事を理解する事はできないでしょう。ゲームをプレーしている人たちと繋がり、ユーザーの意見に本気で耳を傾ける事には信じられないほどの価値があり、そのゲームを更に多くの人たちにアピールできるものに改善する上で役立ってくれます。