ゲームアプリ業界では、既に5年以上にわたり、ユーザー獲得チャンネルとしてのアプリ内広告の有効性は実証されてきましたが、他ジャンルのアプリではまだそこまで有効性が実証されていません。非ゲーム系のアプリデベロッパーやマーケターは、アドネットワークへの効果的な広告配信について、ゲームアプリの事例から得られる学びがあると考えます。
ここでは、SDKネットワークへの広告配信におけるベストプラクティスをご紹介します同時に、アプリ開発者が抱きがちな誤解や先入観についても解説します。
1. 広告配信面に対する固定観念を捨てる
よくあるのが、まずは広く知られた人気のゲームアプリ内に広告を多く露出したいという考えです。また、特定のユーザー層が特定のゲームを好むという偏った固定観念を持ってしまっていることも少なくありません。現に、広告主がironSourceへ出稿する際に、予め効果が良いだろうと想定されるゲーム配信面の一覧を持ち込まれることもあります。
しかし、このようにパブリッシャーを選り好みして指定するアプローチは、実はゲームアプリの広告出稿においては一般的ではありません。なぜなら、獲得ボリュームのスケールは、人気はあるもののアプリ名が一般に浸透していないから得られることもあるからです。
代わりに注目すべきは「Run of Network」と呼ばれるアプローチです。全ての配信面において、広告ユニットごとに細かなパフォーマンスデータを収集することにより、予想以上の結果が得られることでしょう。なぜなら、アドネットワークは広告が最も効果的な配信面に露出されるようにベンチマークやデータを駆使しており、配信面の認知度よりも、スケールのポテンシャルに重点を置いているからです。
また複数のジャンルやサブジャンルをまたいで広告を配信することで、広告主は収益性を高めることができます。当社では、2つの異なるSNSの広告キャンペーンをironSouceネットワークで実施したところ、IPM(1000インプレッション当たりのインストール数)別のパフォーマンス上位の広告配信面は全く異なる結果となりました。これらのアプリにおいて、ネットワーク全体へ配信していなければ、このような考察を得られることはなかったでしょう。
ソーシャルアプリA: 上位ジャンル | ソーシャルアプリB: 上位ジャンル | |
スポーツ+レースゲーム | ソリティア | |
放置ゲーム | コミュニケーション | |
4X ストラテジーゲーム | ヘルス&フィットネス | |
ターニングゲーム | タクシーおよびライドシェア | |
シューターゲーム | ニュース&雑誌 |
2. ビュースルーアトリビューション計測を活用
ironSourceアドネットワーク上に存在するユーザーの実に2割が、広告のクリックではなく、広告を見た後に別の方法でアプリをダウンロードしています。それら別の方法の中には、自ら直接アプリストアを訪問する場合や、ウェブ検索のダウンロードなどが含まれます。クリックのみにこだわりすぎると、広告キャンペーンの最適化を損なうことになりかねません。つまり実際には広告を目にしているユーザーを誤ってオーガニックと見なし、マーケティングの成果を過小評価することになります。
このため、アプリ内広告のアドネットワークでは、デバイスフィンガープリンティングとビュースルーアトリビューション(VTA)が必要不可欠です。これらの手法を活用することにより、広告主はキャンペーンの効果を正しく査定し、また高いパフォーマンスを出した広告配信面を把握することで、より良い最適化を行えるようになります。
あるeコマースアプリが最近行ったキャンペーンを分析すると、VTAを適用した場合、ironSourceの広告在庫を通じたインストール数の大幅な増加が見られました。またパフォーマンスやコンバージョン関連のデータを分析することで、このeコマースアプリは、より価値の高いインストールにつながる最適化を実現しました。長期的には、VTAの適用後、この広告主のeCPIは57%も減少しています。
3. 広告クリエイティブはクリエイティブに
アプリ内広告は、標準的な広告フォーマットから脱却し、エンゲージメントの高いインタラクティブな広告体験を追求する機会を広告主に対して提供します。とりわけゲーム広告における有効性が広く知られていますが、実は他のカテゴリでも効果を劇的に高めることが実証されています。まずは容易に開始できる動画広告から着手してみましょう。加えてインタラクティブなエンドカードやプレイアブル広告を追加すれば、キャンペーンのパフォーマンスが向上します。
他のチャネルと同様、モバイルアドネットワークにおける広告クリエイティブの鍵となるのはABテストです。広告主は、最も効果的でインパクトの高いクリエイティブをキャンペーンに採用することが可能になり、さらにABテストを経て選ばれたクリエイティブは他のデジタルチャネルやオフラインの広告にも応用できます。
ironSourceにおける直近の事例では、ライフスタイルアプリの広告を、インタラクティブな要素を含むエンドカード付きの動画広告からプレイアブル広告に変更したところ、パフォーマンスが50%増加しました。ironSourceのPlayworks Studioが制作したゲーム要素の高いプレイアブル広告は、アプリのブランドと共通するライフスタイルの要素を取り込むことで、ユーザーに癒しの体験を提供する場となっています。
まとめ
SDKネットワークは、あらゆるカテゴリのデベロッパーにとって、ユーザー獲得のグロースを実現するに有効な広告配信面です。その有効性を高めるには、他のチャネルとの違いを理解し、実験的なアプローチで取り組むことが必要です。広告配信面やクリエイティブの種類に対する固定観念を捨て、適切な測定を行うことで、ユーザーベースを最大化し、パフォーマンスを最大限に高めることが可能になるはずです。