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先日開催された、ironSource主催のカンファレンス「Gamefest2018」にて、RovioでVP Advertisingを担当するJarkko Rajamaki氏による課金型アプリにおけるアプリ内広告についてお話いただきました。

Jarkko氏によると、一般的にデベロッパーはアプリ内課金やリテンションへの影響を恐れ、アプリ内で表示する広告を制限する傾向にあると言います。 Jarkko氏は、これらの傾向はあくまで感覚的な仮説として存在していると指摘しています。そのため、Rovioにてデータドリブンな調査を実施してこの仮説を検証し、いかに広告がユーザー動向に影響を与えるか科学的に分析しました。

広告のユーザーへの影響を調査

まず、Rovioにて「Angry Birds Blast」のiOS/Androidにて2週間に渡るテストを実施しました。事前にアドネットワーク各社との調整を行い、テスト期間中に発生した広告アプリのインストールデータ全てを取得し、同期間内のランダムなユーザーグループとの比較検証を行い、以下の結果が得られました。

1. 動画リワードはリテンションとセッション時間を向上させる

調査を進めるにあたり、広告によるリテンションやセッション時間への悪影響は全く見られませんでした。実際には、動画広告を視聴し、広告アプリをインストールしたユーザーの方がランダムに抽出したユーザーグループと比較してリテンション率が高いことが判明しました。

セッション時間についても、広告アプリインストール直後はセッション時間の減少が見られたものの、それでもランダムに抽出したユーザーグループと比較するとセッション時間が長いことが判りました。

最も興味深い発見として、競合タイトルの広告アプリをインストールしたユーザーのリテンション率が最も高いことがあげられます。

この意外な発見を受けて、Rovioは次に「全く広告を表示しない場合、リテンションはどうなるのか?」 と考え、さらなるテストを実施します。従来通り広告を表示するグループと、一切広告を表示しないグループに分け、A/Bテストを実施しました。結果は、リテンションにおいて大きな差異は見られず、広告を表示したグループの方がわずかにリテンションと課金率が上回っていました。

このような検証結果を受け、Rovioでは広告と離脱率について一切関連性はないと結論づけています。もしユーザーが離脱するとしたらおそらく広告以外の他の理由の可能性が高いといえるでしょう。

2. 広告によるアプリ内課金の影響はない

Rovioは一連のテストを通じて、広告アプリをインストールしたユーザーの方がより多くアプリ内課金をしていることが判りました。更にこれらのユーザーは広告収益もあげています。

Jarkko氏は、広告アプリインストールまでのユーザーの動きに興味深い発見があったと言います。競合する広告アプリをインストールするユーザーは、実際に広告アプリをインストールする2~3週間前の時点ですでにリテンション率の低下が見られ、従来のユーザー層と比べ異なる性質と考えられます。そしてリテンションの低さは、広告アプリのインストールに起因するものではなく、もともとこのユーザー層に見られる傾向と結論づけています。

3. インストールする広告アプリのジャンルは、広告を掲載するアプリでのユーザー動向にも影響を及ぼす

カジュアルゲームを展開するRovioの一般的なユーザーと比べ、異なるジャンルの広告アプリをインストールするユーザーは、リテンション率が低いことが判りました。おそらくこれらのユーザーはもともとカジュアルゲームユーザーではなく、ミッドコアやハードコアユーザーであることが考えられます。

まとめ

Jarkko氏によると、ユーザーは数タップで簡単にアプリストアへアクセスすることができます。つまり、アプリ内に広告を表示してもしなくても、気に入らなければ、次のゲームを探すわけです。言い換えれば、ユーザーを他社アプリに触れさせないようにすることは実施的に不可能と言え、アプリ内にて広告の表示を制限することは大きな機会損失であると考えられます。

これゆえ、Rovioでは全てのユーザーに対し、たとえ競合タイトルであっても広告を表示しています。

もちろん、この検証結果が全てのゲームに当てはまるとは断言できません。したがって、ゲームデベロッパーが自身のゲームにおいてしっかり検証を重ねていくことが最も重要であるとJarkko氏は言います。

Let's put these tips to good use

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