インフルエンサーマーケティングはブランド認知キャンペーンに対して最も効果を発揮する、というのはありがちな誤解ですが、Webfluential社のCEO であるRyan Silberman氏によると、パフォーマンスの向上にますます広く使用されるようになっているとのことです。Appfest2022で同氏は、インフルエンサーマーケティングを活用してインストールを増加する方法について述べています。以下のサマリをお読みください。また、実際の様子を動画でもご覧いただけます。
オリジナル広告のレシピ
Silberman氏によると、これまで魅力的な広告は、文脈とパーソナライゼーションという2つの基本的な要素を基盤に作成されてきたとのことです。
広告主はまず、異なる環境で学んだ内容(文脈的なとっかかり)を活かして、消費者にとって関連性の高い情報(パーソナライズされたコンテンツ)を提供します。例えば、ある女性が雨に濡れた状態である店に来店するとします。その女性に傘を差し出した店員がいたとしたら、その行動を取った店員は相手の文脈的なとっかかり(雨に濡れた女性)を活かして傘を差し出していることになります。
信頼の活用:ナノインフルエンサー
しかし、広告にコンテキストを組み込んでパーソナライズしたとしても、そこにはまだ重要な要素が欠けています。それは信頼です。広告に信頼を組み込むことで、商品に対する消費者からの高い信頼を育むことができます。というのは、人は誰かを信頼すると、その人の言うことを信じる傾向が強くなるからです。
消費者は、身近に感じられて、自分との接点を見出せる人を信頼する傾向があります。例えば、今まで訪れたことのない街を巡る時には、報酬を受け取ってお勧めスポットを紹介する有名人の言うことよりも、地元の人々のお勧めを信頼するはずです。有名人の方が知名度が高く、より多くの人々にリーチできますが、それでも地元の人々の方が信頼できるように感じるはずです。リーチは小さくてもエンゲージメント率が高い人を何と呼ぶのでしょうか?それは、ナノインフルエンサーです。
ナノインフルエンサーは、フォロワーが3,000人未満のインフルエンサーです。下のグラフは、ナノインフルエンサーの活用によって、いかに確実に大きな効果が得られるかを示しています。オーディエンスの規模が小さければ小さいほど、エンゲージメント率は高くなります。
大規模なパフォーマンスの向上
エンゲージメント率を、売上やインストールなどの実際の成果に変換することはできるでしょうか?
ビタミン剤の販売を行うアメリカの健康企業であるElysium Health社は、売上を伸ばすために、サイクリングに情熱を傾けていたナノインフルエンサーと提携してトラフィックを伸ばし、そこから売上に繋げることができました。FacebookとTikTokで広告を運営することでそのコンテンツを大規模に展開し、CPAを2倍改善しました。
売上だけではなく、ナノインフルエンサーはアプリに対する好感を高めることもできます。というのは、オーディエンスに対して信憑性の高いナラティブを作っているだけでなく、ポジティブなアプローチで商品を紹介しているからです。実際に、「Chef: A Restaurant Tycoon Game」は、ナノインフルエンサーと協力して協賛コンテンツを作成し、ユーザーからの好感度が10倍向上しました。
結果につながる推薦
ナノインフルエンサーに広告を共有してもらうには、InstagramやTikTokのような従来のSNSチャネルだけではなく、別の方法があります。
ダークソーシャルにはWhatsAppやメールのようなより個人的なチャネルが含まれており、ここでナノインフルエンサーはリンクをコピーして貼り付け、友人と直接共有することができ、非常に高いコンバージョンとエンゲージメント率を生み出します。実際、Silberman氏は共有の84%はダークソーシャルで行われていると言います。ですから、トラッキングできず話題に上ることもないものの、ナノインフルエンサーを活用する大きな機会となるのです。
インフルエンサーをパフォーマンスチャネルにするためのヒント
Silberman氏は、インフルエンサープログラムを成功させる4つの柱を教えてくれました。
1. テクノロジープラットフォーム
適切なプラットフォームを持つことで、適切なインフルエンサーの採用と契約にかかる時間と費用を節約できます。ワークフローも管理できるというのもメリットのひとつとなります。
2. インベントリ
多くのインフルエンサーをスタンバイさせる必要があると考える人もいるかもしれませんが、Silberman氏は、実際はそうではないと述べています。重要なのは、インフルエンサーがオプトインしていることです。つまり、インフルエンサーはソーシャルチャネルをリンクし、契約条件に同意し、即戦力となっていることで、キャンペーンにかかる所要時間が短縮されるのです。
3. 戦略(オンデマンド)
テクノロジーと適切なインフルエンサーが揃いました。次は、インフルエンサーが何をすべきかを決める時です。Silberman氏が提案するのは、インフルエンサーを自分のビジネスや活動に取り込み、戦略をインフルエンサー自身に決めてもらうことです。オーディエンスを最もよく知っているのは、インフルエンサー自身だからです。
4. ペイド広告との組み合わせ
Silberman氏は、他の3つの柱を完璧に仕上げたとしても、確実に成功させるための最も重要な柱はこれであると述べています。大規模に実行できない場合は意味がなく、対象範囲が小さすぎるということになります。スケールアップするには、広告ネットワークとソーシャルプラットフォームと連携することが必要です。
まとめ
インフルエンサーマーケティングのポイントを覚えておくなら、以下を覚えておくようにとSilberman氏は促しています。
- ユーザーのエンゲージメントを得るには、信頼、文脈、パーソナライゼーションを適用する
- コストの高い有名人やブランドコンテンツではなく、コストの低いナノインフルエンサーを使用する
- どのようにダークソーシャルを活用し、アドネットワークのようなペイド広告を利用するか判断する
- コミュニティに組み込まれているリテンションを有利に活用する